真面目なあたしは悪MANに恋をする

片岡side

―片岡side―


高校の制服を着て、中学に毎日通うことになるなんて…思わなかったな

僕は、裏門で教師たちが仕事を終えて出てくるのを待っていた

葉南さんと会わないと決めた翌日から、放課後、葉南さんのお母さんの帰りを中学の裏門で待ってる

話しがしたくて

葉南さんには、産んでくれたお母さんにたいして「嫌い」とは言って欲しくないから

僕の母は、僕を大切にしてくれた

あの事件が起きるまでは

僕が誰かを虐めているなんて母は思いもしなかっただろう

それを知った日から、母は僕を子どもとして見てくれなくなった

父と、念願の結婚ができてから、僕と母には少しずつ溝ができていたのは事実だ

好きな人とは一緒になれないけれど、好きな人の子を身ごもれた

それだけで幸せだった母の世界に、好きな人と一緒になれる世界へと広がった

だから、僕は母の世界から、少しずつ離れていった

僕への優先順位が降下していくのを、肌で感じた

寂しかったけれど、仕方がないと割り切っている自分もいた

だけど葉南さんは違う

大切にされている

そんな母と娘との関係を、僕一人のせいで壊してしまいたくない

僕が葉南さんから離れるのが一番なんだろうけれど…あいにくそれは無理がある

僕は葉南さんが好きだから

葉南さんが大事だから

葉南さんと一緒にいたい

葉南さんじゃなきゃ、嫌なんだ

なら…認めてもらうしかない

僕が、直接話をして、わかってもらうしかない

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