真面目なあたしは悪MANに恋をする
千明が、視線を動かすと家の塀に隠れてこっちを伺っている男たちと目が合った

『まずい!』
『チョーに見つかったっすよ』

二人の男がぱっと隠れるのが見えた

「あいつらぁ」

僕は、大股で塀の陰に隠れた男たちに近づいていった

「何、やってんだよ!」

「ひぃぃ、怒られたぁ」

ケンが頭を抱え込むと小さく丸まった

「だから後をつけるような真似はよくないって言ったじゃん」

マサが悪びれる様子もなく、ケンに文句を言った

「マサも同罪だろ」

「まあ、そうですけどね。やっぱ気になるじゃん」

マサがにこっと白い歯を見せて笑った

「チョーは何も話さないからねえ。肝心な話もせずに、誠意だけをぶつけてもねえ」

透理が、ゆったりとした口調で話しをする

「透理も来てたのかよ」

「だって…この計画は俺の計画だからねえ。最後まで見届ける権利があるよねえ」

「マサじゃないの?」

僕はマサの顔を見る

「透理さんだよ。悪いけど、俺は他人の恋路を応援するほどお人よしじゃないんだよね」

マサがにやっと口元を緩めて、腕を組んだ

肘から手首にかけての傷痕が、まだ痛々しく残っている

たぶん、もう…綺麗に治ることはないんだろうなあ


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