真面目なあたしは悪MANに恋をする
「あれ? 葉南ちゃん、今日はキッチン?」

ホール仲間の栗山さんが声をかけてきた

「うん、今日はお手伝い。店長、忙しいみたい」

「月末になると、事務所に籠るよねえ。いい加減、来月のシフトを出してほしいんだけどさあ…全然予定が立てられないよ」

栗山さんが苦笑した

「あ…すみません! 今日中に仕上げます」

思わぬ方向から、謝りの言葉を飛んできてあたしと栗山さんが顔を動かした

「え?」

「もしかしてシフトって、片岡君が作ってるの?」

栗山さんが質問すると、揚げたてのカツを箸で挟んでいる片岡君が頷いた

「2か月前から店長に頼まれて作ってます。次の月の3日前までにって言われていたので、すみません。栗山さんのバイトが終わる前までに作りますから」

「え? いいよ、大変でしょ?」

栗山さんが手を振って、苦笑した

「今日はクリスマスですから…そんなに客は来ないと思うんですよね」

「ああ、確かに。クリスマスの日に、とんかつを食べようって人はなかなかいないよね」

栗山さんが、こくんと頷く

「できたらすぐに、貼り出しますね。あとロース一枚、お願いします」

キッチンから、揚げたてのロースかつ定食をホールに出した

栗山さんはお盆に乗っけると、すたすたとホールに出て行った
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