真面目なあたしは悪MANに恋をする
シフトも片岡君が作ってるんだあ

知らなかった

だから今日のあたしのバイトの時間を知ってたんだ

シフトを作ったなら、少しは覚えてるもんね

「靴、直してきたんで、帰りに渡しますね」

「え?」

あたしは片岡君の言葉に首を傾げた

「昨日のヒールの折れた靴…」

「あっ、ああ、うん」

あたしは何度も頭を上下に動かした

「直してくれたの?」

「僕ではないですけど、友人が靴直しの店に勤めているので」

「そうなんだ…捨てちゃって良かったのに」

あたしは皿を洗う手を止めずに、笑った

「友人いわく、良い靴らしいですよ。捨てるなんて勿体ないじゃないですか」

言い終わると同時に、片岡君が欠伸をした

珍しい!

片岡君がバイト中に欠伸をするなんて

「もしかして寝不足? 彼女と朝までずっと遊んでたとか?」

「まさか。ダチに呼び出されただけですよ。カラオケボックスで、1時間くらい寝られたんですけど、やっぱ眠いっすね」

片岡君が苦笑した

『眠いっすね』だって

片岡君っていつも丁寧に話すから、普段の口調とかって聞いたことがないよ

そのせいかな? ちょっと嬉しいかも
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