真面目なあたしは悪MANに恋をする
萌香は、指先にセーラー服のスカーフを絡ませている

落ち込んでいる?

だってさ、茉莉に言うことじゃないよね?

好きなら、俺に言えばいいよことだよね?

好きって言われても、付き合って欲しいって言われても断るけどさ

遠まわしにやってほしくないよね、こういうのってさ

「俺、仕事に戻るから」

俺は席を立つと、飲み終えは牛乳パックを手に持った

ここにいても、時間の無駄っぽいしね

俺がいる意味もわからないしね

テーブルを離れると、ヒールの音が近づいてくるのがわかった

「ちょっと」

俺の腕を掴んで、足を止めたのは茉莉だった

目の下にクマがある

昨日、あまりよく眠れなかったのか?

俺と喧嘩をしたから?

俺が怒ったから、熟睡できなかった?

「ナニ?」

「冷たくない?」

「興味のない子に優しくてどうするの?」

「え?」

茉莉の顔が曇った

「だってそうでしょ? 付き合う気がないのにさ。優しくする必要があるのかな? 勝手に勘違いして欲しくないんだよね。俺、ショップの店員で、あの子が客だから、仲良くしているだけであってさ。別に恋愛感情とかないから。あの子にそう言っておいてよ」

俺は茉莉の腕を振り払うと、また歩き始めた


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