真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ちょっと…マサ」

茉莉が追いかけてくると、また腕を掴んできた

スタッフ専用の出入り口に入ろうとした足を止めた俺は、茉莉に振り返る

茉莉は怖い顔をしていた

なんで怒ってるの?

「萌香ちゃんに対して、冷たいと思わないの?」

茉莉が眉間に皺をよせて怒っていた

「なんでそう思うの? 優しくしなくちゃいけない理由が俺にある?」

「だって、萌香ちゃんはマサのことを…」

「好きなんでしょ? そんなの店に通ってる時点でわかってるよ。だからってプライベートな時間でも優しくしなくちゃいけない理由にはならないよね?」

意味がわからないよ

なんで茉莉がそんなに怒ってるの?

怒る必要があるの?

俺が、萌香と仲良くしてていいわけ?

「マサが言ってるの…矛盾してるよ。だってカラオケに行ったりしてるんでしょ?」

「しつこいから一回だけ。矛盾はしてないよ。ねえ、どうして茉莉が怒ってるの? 俺には理解ができないんだけど」

茉莉は俺から手を離すと背を向けた

「わからないならいい!」

「ちょっと待ってよ」

背を向けて歩き出す茉莉に俺は、慌てて手首をつかんだ

「良くないよね?」

「好きな人に、好きって言っちゃいけないわけ?」

「は?」

俺は首を横に倒した

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