真面目なあたしは悪MANに恋をする
―茉莉side―


別に…誰かと会う予定もないのに、強がってしまった

バタンと大きな音をたてて閉まった扉を見つめたまま、私は体が氷のように固まった

どうしてあんな嘘をついてしまったのだろう

仕事のあと…誰とも遊ぶ予定なんてないのにね

今夜は、マサとゆっくりと会いたいなんて思ってたのになあ

つい、好きじゃないふりをしてしまう

好きなのに、マサを目の前にしてしまうと素直が気持ちが隠れてしまう

なんで?

おかしいなあ

マサが好きなのに…どうして素直になれなくなっちゃうんだろう

「宮川先生?」

律子ちゃんに肩を叩かれて、私は振り返った

「どうしたんですか?」

萌香ちゃんも首を傾げていた

「あ…うん。何でもないよ」

慌てて笑顔を作って、片手を振った

「やっぱ、宮川先生っていいなあ。生徒のために、初対面の人に怒鳴りに言ってくれるなんて」

萌香ちゃんが嬉しそうに口を開いた

え? あ…そういうつもりじゃなかったんだけど、な

ただ、萌香ちゃんの気持ちが自分の気持ちとかぶったっていうか

きっと私がマサに告白しても、きっと冷たくされちゃうのかと思ったら、頭に血がのぼってた

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