真面目なあたしは悪MANに恋をする
私は携帯を鞄にしまうと、歩きだした

今日は化粧品と、バイトに着ていく服を買いにきたのを思い出すと、私はショッピングに気持ちを切り替えた

首の後ろにキスマークがあるなら、首元を隠すようなのを見つけなくちゃだよね

桃香ちゃんたちに教えてもらってよかったよ

恥ずかしかったけれど、塾のバイト仲間に言われるよりは気が楽かな

私は服屋の前で足を止めると、ハイネックの服を手に取っては棚に戻した

なんか、「これ」っていうのがないかも

値段がお手頃で、おシャレなのが無いかな?

あんまり無駄遣いしたくないしね

一人暮らしって結構お金がかかるから…少しでも節約したい

「何でハイネックなの?」

突然、背後からの低い声にびっくりして私は手に持っていた服を下に落としそうになってしまった

振り返るとマサが、私の背中にぴったりとくっついて立っている

「ま…マサ?」

「何?」

「何で?」

「メール見たから」

「え? バイトは?」

「休憩中だよね」

マサは私の手から、ハイネックのシャツを奪うと、棚に戻した

「首にキスマークがあるって…萌香ちゃんたちから聞いたから。バイトに隠していくのに…」

「どうして隠すの?」

「塾長が五月蠅いんだって。それに…」

私は言いかけたまま、途中で口を閉じた

「『それに』何?」

「え?」

私は首を横に振った

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