真面目なあたしは悪MANに恋をする
「言いかけた言葉の続き、教えてよ」

「えっと…塾長が私を気に入っているらしいって。だから、嫌だなって思って」

「ふうん」

マサは私から少し離れると、店内をくるっと見渡した

「それならあれがいいよ」

上の棚にある服を手に取ると、私に見せてくれる

すっきりした首元なのに、しっかり首の後ろの部分は隠してくれそうなデザインだった

「値段は?」

私は少し離れた位置にいるマサに質問した

「気に入った?」

マサが首を傾げる

「値段によるよ」

「お金は気にしないで。気に入った?」

「うん」

私が頷くと、マサがくるっと回転してレジに向かった

「これ、ください」

マサがズボンから財布を出すと、私にお金を払わせる隙も与えずに会計を済ませてしまった

え? ちょっと待ってよ

「マサ、いくらだった?」

「いらないよ」

「でも…」

「いいから。これで、仲直りしよ」

マサがにこっと笑った

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