真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ここのアパートを追い出されたくないんだ。ここが格安だったんだけど…困ったなぁ」
北見が「えへへ」と目に涙をためて、微笑んだ
「金がないんだ」
「まあ、そういうことかな。こんな姿、透理君に見られちゃうなんて格好悪いなあ。もう恥ずかしくて」
北見が手で顔を仰いだ
「別に何とも思ってないから」
俺は興味なさそうに呟いた
実際、本当に興味がないし
「そうだよねえ。いくら高3で同じクラスだったからって、関係ないもんね」
北見が笑って目が細くなると、ぽろっと涙が流れおちた
「お父さんが自殺しちゃって…事業が失敗したらしいんだけど。全然知らなかったから、驚いた。卒業式が終わって、家に帰ってきたらお父さんが首を吊ってた。お母さんは…お父さんが死ぬ前に男と出てってた。二人とも仕事で卒業式に出られないって言ってたのに」
北見が膝を抱えて身体を小さく丸めると、静かに泣きだした
俺は壁に背中を寄り掛かったまま、カーテンのついてない窓を眺めた
真っ暗な闇が見える
北見の心もきっとこの窓から見えるような真っ暗な闇なのだろう
「ごめっ。気にしないで。忘れちゃっていいから! 明日からまた職探ししないとだね」
北見が目を真っ赤にして笑った
まるで俺の母親のようだ
辛いのに、我慢をする
そういうの好きじゃないんだ
俺は北見から視線を外すと、布団の角に目をやった
北見が「えへへ」と目に涙をためて、微笑んだ
「金がないんだ」
「まあ、そういうことかな。こんな姿、透理君に見られちゃうなんて格好悪いなあ。もう恥ずかしくて」
北見が手で顔を仰いだ
「別に何とも思ってないから」
俺は興味なさそうに呟いた
実際、本当に興味がないし
「そうだよねえ。いくら高3で同じクラスだったからって、関係ないもんね」
北見が笑って目が細くなると、ぽろっと涙が流れおちた
「お父さんが自殺しちゃって…事業が失敗したらしいんだけど。全然知らなかったから、驚いた。卒業式が終わって、家に帰ってきたらお父さんが首を吊ってた。お母さんは…お父さんが死ぬ前に男と出てってた。二人とも仕事で卒業式に出られないって言ってたのに」
北見が膝を抱えて身体を小さく丸めると、静かに泣きだした
俺は壁に背中を寄り掛かったまま、カーテンのついてない窓を眺めた
真っ暗な闇が見える
北見の心もきっとこの窓から見えるような真っ暗な闇なのだろう
「ごめっ。気にしないで。忘れちゃっていいから! 明日からまた職探ししないとだね」
北見が目を真っ赤にして笑った
まるで俺の母親のようだ
辛いのに、我慢をする
そういうの好きじゃないんだ
俺は北見から視線を外すと、布団の角に目をやった