真面目なあたしは悪MANに恋をする
15分くらい、くだらない布団の譲り合いをしていた気がする

「じゃ、一緒に寝よう」

俺の提案に、北見の顔が真っ赤になるのがわかった

「別に何もしないけど」

「え…あ、うん。わかってるけど、ちょっと緊張っていうか。ねえ、ほら、透理君はモテてたから」

北見が手を振りながら、苦笑した

俺がモテてた?

クラスの女子に人気があったのだろうか?

気にしなかった

同年代の女子に興味もなかったしねえ

俺のそういう対象にはクラスの女子は入らないから

熟女で、お金を持っている人にしか反応しないんだよね

俺らは一人用の布団に、互いに背を向け合って横になった

北見の匂いがした

ドギツイ香水の匂いも、煙草の香りもしない

北見本来の匂いというのだろうか

ボディーソープやシャンプーの匂いというのか

俺が今まで横になったベッドの匂いとは違った

「ねえ、大学ってどうしてるの?」

俺はふと疑問に思ったことを質問した

「辞めた…ていうか。入学金とか親が一切払ってなかったから、通えなかった」

「じゃあ、今はバイトばっかり?」

「うん。首になっちゃったけどね。今まで、そういうのをしたことがないから、すぐに失敗して首になっちゃうんだよね。どれも長く続かなくて…」

北見の悲しそうな声が俺の耳に入った

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