真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ちょっと、透理君っ!」

鈴菜がびっくりした顔をして、俺の腕に掴みかかってきた

『マジだ! 北見の声がする』

マコトが納得したように、携帯の中から落ち着いてきた声が聞こえた

「別にいいじゃん」

俺は鈴菜に笑いかける

『お前ら、いつから付き合ってるんだよ!』

「卒業してからだよ」

『マジでぇ。なんかむかつくんですけどぉ』

マコトがまた叫び声をあげる

興奮し過ぎだって、しょせん他人ごとなんだから、そんなに大きな声を出す必要なんてないのに

「じゃあ、日程が決まったらメールしてよ。北見と一緒に行くから」

『あ、ああ。わかった。じゃなあ! 幸せになれよ』

「言われなくても」

俺は携帯を切ると、鞄の上に放り投げた

「どうしてあんなこと言っちゃうの?」

鈴菜が、怒ったように目を吊り上げて口を開いた

「あんなことって?」

「一緒に住んでるって」

「別に嘘じゃないし、いいんじゃない?」

「良くないよ。もし私の両親のことを知ってる人がいたらどうするの? 恥をかくのは透理君なんだよ?」

俺のことを気にしてるの?

平気なのに

鈴菜の頭の上に手を置くと、ポンポンと叩いた

「恥なんてかかないし。鈴菜はさ、まわりを気にしすぎだよ」

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