真面目なあたしは悪MANに恋をする
「いつの話をしてるんです? 俺だって、変わりますよ。いろんな女性に、いろいろと尽くしたんですから。やり方だって前と変わってくるでしょ? ただそれだけです」

俺は、彩加さんから距離を開けてから振り返った

「もう帰ります」

「また行くわ…お、み、せ」

彩加さんはウインクをすると、背を向けて奥の部屋に入っていった

俺は玄関に向かうと、彩加さんのマンションを足早に出ていった

気持ちが悪い

俺は、噛まれた耳たぶを指で何度も擦った

シャワーを浴びて、綺麗になったと思ったのに

あの人の、唾液が耳についた

シャワーから出たあとは、できるだけどの人にも触れてほしくない

せっかっく綺麗になったのに、汚されたような気分になる

これから家に帰ったら、鈴菜と同じ布団で寝るのに…

俺は鞄の中に入っているウエットティッシュを取り出すと、耳たぶと指を拭いた

どうしてだろう

前はこんなんじゃなかったのに…最近は、家に帰るのに女性を抱いたままの体で帰りたくない

汚れているような気がしてならない

シャワーを浴びてからじゃないと帰りたくないんだ


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