真面目なあたしは悪MANに恋をする
短パンに、Tシャツに着替えると俺は鈴菜と同じ布団に身体を入れた

一人用の狭い布団の中に、二人で寄り添うように入る

家族以外の余計な布団なんて、うちにはない

だから、鈴菜とは同じ布団で横になるのが今では当たり前になっていた

今思えば、鈴菜用に一組買ってあげれば良かったんだな

今更、「買う」と聞くのも変だしなあ

「キスマークって痛いの?」

鈴菜の息が、俺の首筋をくすぐった

なんでこんな時に質問するかなあ

同じ布団で寝ているのに、そんな質問をされたら俺が困るでしょ

そりゃあ、一ヶ月一緒にいて何もないから、安心しているのかもしれないけど、俺だって男だってこと忘れないでよ

…て、お金のある女性にしか興味ないって言ったのは俺か

「人によるんじゃないの? 気持ち良いって思う人もいれば、痛いって思う人もいると思うよ」

俺は鈴菜に背を向けたまま答えた

「そっか。人それぞれなんだ」

鈴菜が納得したようにつぶやいた

「興味あるの?」

「そりゃあ、あるよ。つけたこともつけれたこともないから。友達とかが、恥ずかしそうに隠しているのとか見てて、羨ましいなあって思ったよ。ああ、彼氏に愛されてるんだねって思えたし」

そうか

キスマークって、そういう風に思われるんだ

「じゃあ、7月のプチ同窓会のときは、つけていく?」

「え?」

鈴菜の驚く声が、聞こえた
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