真面目なあたしは悪MANに恋をする
「自慢できるんじゃない?」

「いいの?」

「嫌なら、やらないけど」

「透理君がいいなら…」

鈴菜の声がとたんに小さくなり、俺は振り返った

鈴菜は顔を布団中に入れていた

そういう反応、俺には新鮮だなあ

可愛いよ

俺は身体を回転させて、鈴菜のほうを向いた

「俺なら、いいよ。一ヶ月も同じ布団で寝てて、何もないってのが不思議だよねえ」

俺は「あはは」と笑うと、ひょこっと鈴菜が顔を出した

「だって、透理君の好みのタイプじゃないから、私は」

寂しそうな声の鈴菜に、俺は胸の奥が苦しくなった

何かを期待している俺がいる

「そうでもないよ」

「だって私はお金、ないもの」

鈴菜の言葉に、俺は考えるよりも先に手が動いていた

ぎゅうっと抱きしめると、鈴菜の上に乗りかかりキスをした

「どうしてかな? 俺にもよくわからいけど、鈴菜はお金がなくてもいいんだ。俺の傍にいてよ」

「いいの?」

「いいよ。俺こそ、いいの? このままだと止められないよ?」

「いいよ。私、ずっと透理君のこと好きだったから」

鈴菜がにっこりとほほ笑む

その顔を見た俺は、全身がかあっと熱くなるのがわかった

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