真面目なあたしは悪MANに恋をする

面倒くさくなって『加藤さんでもいいかもね』とはメールした覚えはあるけど

付き合うつもりなんてないし

付き合いたいとも思わないし、さ

放っておいて…て気分なんだよね、今は

寺島君に結びつく人と居たくないっていうか

早く、寺島君と茉莉のことを忘れたいっていうか

記憶から消してしまいたいっていうか

「言っただろ…てか、送っただろ。いいじゃん、別に彼氏、いないんだろ？　付き合っても損はねえよ」

どうしてそう簡単に言えるのかな？

あたしの人生なんだから、口出しして欲しくないよ

おかしいなあ

一昨日までなら、何をしても格好良く見えて、言葉の全てが嬉しかった人なのに

今は、なんか嫌なんだよね

苛々するよ

「いないからって、すぐに付き合うのって…どうかと思うよ」

「いいじゃん。加藤は悪いやつじゃねえし…てか、断らないほうがいいと思うぜ」

「は？」

あたしが顔を上げると、キッチンのドアが開いた

長身の片岡君が入ってくるのが、目の端にうつる

…て、もう休憩終わり？

身体、休めたの？

寝不足で、ずっと立ち仕事をしてたのに、平気なの？