真面目なあたしは悪MANに恋をする
「よいしょっと…ケン、自分で歩いてってば!」

俺はケンの腕を肩にかけて、引きずるようにして引っ張ってやっと自宅に帰ってきた

玄関に倒れこむようにしながら、ケンから離れてた

ごんっとケンの後頭部が床にぶつかる音がした

深夜1時、俺は酔って眠りこけてしまったケンを引きずりながら、帰ってきた

疲労困憊だよ

明日は筋肉痛になりそう

靴を脱いで、はあっと息を吐くと全身の力を抜いた

「透理君?」

二階から、鈴菜の声がして俺は顔をあげた

「あ…ごめん。起しちゃった?」

「ううん。まだ起きてたから、平気」

「友達がさ。カラオケボックスで寝ちゃって」

俺が苦笑すると、ぐったりとしているケンを指でさした

「派手なツナギだね」

鈴菜が赤と白のマーブル模様のツナギを不思議そうに見つめていた

そっか…鈴菜はここが地元じゃないから、赤族のツナギだって知らないんだね

「俺も持ってるよ」

「え? そうなの?」

「ん。赤族の制服みたいなのだから」

「あかぞく?」

「そ。暴走族だよね」

「透理君が?」

「そうだよ」

階段から降りてきた、鈴菜が驚いた顔をして、俺の横で膝をついた

「え? 透理君が?」

「だから、そうだって」

俺が苦笑すると、鈴菜がケンと俺の顔を交互に見た

「ええ? 信じられないよ。だって…」

「学校にいたときの俺からは想像できない?」

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