真面目なあたしは悪MANに恋をする
飲み始めて1時間も過ぎてくると、男女入り混じっての会話になってきた

当時の誰だれが付き合っていたけど、今は別れている…とか

誰だれが、浮気をしているらしいとか

〇〇先生は実は生徒と付き合っているとか、噂話しに盛り上がっていた

「透理君が、鈴菜と付き合うなんて意外だな」

トイレから出てきた俺に、桜木直美が声をかけてきた

クラスの中で、1番か2番くらいにモテていた女子生徒だったと記憶している

あまり興味がないし、うる覚えだけど

「そうかな?」

俺はハンカチで濡れている手を拭いていると、桜木が急に腕を掴んで引っ張ってきた

「ちょっと風にあたってきまーす」

桜木が、俺の腕を掴んだまま、店の外に出ていこうとする

「ちょ…何だよ」

「おっ、直美ってば大胆っ! そのままホテルに行っちゃ駄目だよ」

酔った他の友人たちが、ヤジを飛ばす

はあ? 俺は鈴菜を見るが、鈴菜は俺からぱっと視線をそらした

え? なんで?

店の外に出ると、桜木は「やっと二人きりになれた」とぼそっと呟いた

俺は、鈴菜のさっきの行動が気になるんだけど

「どうして鈴菜なの?」

「どうしてって聞かれても。好きになったからとしか答えようがないよね」

「卒業してまだ4か月だよ? なんでもう一緒に暮らしてるの?」

「別にいいじゃん。俺らの勝手でしょ」

なんで、俺は桜木に責められなくちゃいけないんだよ
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