真面目なあたしは悪MANに恋をする
「あれ、もう帰って来たの? 早くない?」

酔ったクラスメートの男が、明るい声で店内に戻ってきた俺に声をかけてきた

「なんで? 俺、別に外に行きたいわけじゃないし」

俺は鈴菜の隣に腰を下ろした

大嫌いだ

こういう雰囲気は…好きじゃない

鈴菜がいるって知っているのに、他の女と出ていくのを楽しそうにしているなんて、おかしいよ

「桜木ってさ。ずっと透理のこと好きだったんだぜ」

「別に。俺、興味ないから」

俺は冷たく言うと、足を組んで鈴菜の手を握った

「うおぉ。北見一筋ってか?」

「じゃなきゃ、付き合わないでしょ」

俺は呆れたように言い放つと、近くにあった水を飲んだ

生ぬるい水が、喉を通っていくのがわかる

クラスの奴らがきゃっきゃと騒いでいる中に、暗い顔をしている桜木が戻ってきた

< 380 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop