真面目なあたしは悪MANに恋をする
一緒にいればいるほど、苦痛を感じた

真理と茉莉の違いがありすぎて、もうこの世にはいないのだと痛感するだけ

俺の罪は消えないのだと、そう思い知らされるだけだった

「馬鹿だな、俺」

見つめている手で、前髪をかきあげた

リンも俺の過去を知ったら、きっと離れていくのだろうな

義理とはいえ、妹になった女と付き合って、死なせたなんて知ったら……

「知られたくないけど。できるなら知られないままで」

ふっと笑うと、俺はその場に座り込んだ

膝をかかえて背中を丸めると、ベッドのわきに置いてある真理と一緒に撮った写真を眺めた

なあ、俺、幸せになっていいのかな?

俺、真理以外の女と恋愛しても、おまえは怒らない?

ごめんな

俺、まだガキだったから、真理の苦しみをわかってやれなかった

真理の孤独、寂しさに気づけなくて、俺に愛情を求めてくるお前を疎ましく思った時もあったんだ

親に知られて引き離されて、俺はすぐに区切りがついた

そもそも遊び感覚だったんだろうな、俺

親の目を盗んで、スリルを味わってただけなんだ

だから真理をすぐに諦められて、遠くに行けた

だけど真理は違ったんだろ?

俺を好きでいてくれた

俺を愛してくれていた

だから俺を頼って、家を出てきたのに、俺は真理を受け入れられなかった

「ごめんな」

湯船が怖いんだ、俺

お前が死んでいた場所に、足を踏み入れるのが怖い

だから風呂には入らない

シャワーだけ

湯船にはつからない

ユニットバスのアパートなんて、絶対に無理なんだ

真っ赤な液体の中に沈んでいる真理を思い出して、吐き気が止まらなくなる

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