真面目なあたしは悪MANに恋をする
俺は立ち上がると、肩からかけている鞄を外した

部屋の隅に置いてあるミニテーブルの上に、ぽつんとあるノート型パソコンに電源を入れた

青族の新族長について、奴らが書いているブログに何か書いてあるかもしれないと思った

一人一人が勝手に書いているブログ

他愛ないブログや、誰かをぼこった話、苛ついた話などとめどなく書いてある

俺はそれをなにも知らない一般人として目を通す

その中から、青の情報を引き出すのだ

本当はマサのほうが得意なんだけどなあ

なんで俺なんだろう

マサもマサで、きっと情報を集めているんだろうなあ

「…んじゃ、こりゃあ」

俺はブログの内容を見て、驚いた

「確かに人の集まるところだな。ヒーローショーで暴れるから、チョーが俺に話したんだな。理解した…てか、なんで俺に言ったのかを納得した」

俺がバイトしているから、声をかけておいたんだな

まったく、ヒーローショーをあらすなっつうの!

子供の夢を壊して何になるんだか

「アホらしい」

「まったくだよね。正義のヒーローを子供たちの前で、やっつけて自分たちが強くなった気分になっているだけのただの馬鹿な連中だよね」

背後から聞こえてきたマサの声に、俺は振り返った

「なんだよ、ノックくらいして入ってこいよ」

「一応したよ。小声でこんこんって言ってみた」

「口かよ」

「口でもノックはノックでしょ」

「はいはい」

マサが俺の隣に座ると、勝手にパソコンをいじり始めた

パソの映像には、ヒーローショーを荒したときの勝利の写真が載っていた

「馬鹿だな」

「馬鹿だよね。本当に低レベルすぎて、呆れちゃうよ。族長がたいしたことないと、族自体のレベルもがくんと落ちるよね。まあ、もともとそんなにたいした族長じゃなかったけど、今回が最高に馬鹿な族長って思うよ」

マサが楽しそうに笑って、肩を持ち上げた

「…で? 俺に何をしろと?」

「そりゃあ、正義のヒーローになろうよ!」

マサがにこっと笑った
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