真面目なあたしは悪MANに恋をする

ヒーロー気取りの青族

-ケンケンside-

『最近、あちこちのショーを荒している暴走族がいますので、みんなも気をつけるように』

スーツを着た上司がそれだけ言うと、そそくさと帰って行った

気をつけるように…って、何をどう気をつけりゃいいんだよって突っ込みたくなる

来なければ、「良かったね」で話は終わる

が、来ちゃった場合の対策法くらい出してくれればいいのに

怖い思いをするのは、現場で働いている奴らなのに…な

「ちょっと!」

俺はリンに腕をぐっと掴まれた

まだジャージ姿の俺は、テントの中でペットボトルを片手に立っている

「はい?」と返事をしながら、俺は首を横に倒した

「無理しなくていいからね」

「何をっすか?」

「バイクアクションと、変な奴らが来てもやっつけようなんて思わなくていいのよ」

「バイクアクションなら、任してって言ったじゃないっすか。俺、バイク、好きっすから」

「なら…いいけど」

リンがまだ不安そうな顔で立っていた

俺はリンの頭をポンポンと叩く

「平気っすよ。無理はしませんって」

俺はリンに微笑んだ

「あ…そうだ。ご褒美、期待してますから」

「え? 本当に? その気でいるの?」

「もちろんっすよ」

「あげないわよ」

「欲しいっす」

「……無理」

「それでも欲しい」

< 394 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop