真面目なあたしは悪MANに恋をする
20分近くバイクで走り回り、さらに20分間、武器を持っている相手と殴り合いをした

青族の襲来から50分後には、青族が逃げるようにバイクに跨り、ショーの会場を後にしていた

「やったな、ケンケン」

チョーが、満足そうに微笑んだ

「チョー、殴られたでしょ? 顔が腫れてるっすよ。それでバイトに戻るんすか?」

「葉南さんに連絡してからね。心配してたから」

チョーが携帯を出して、さっそく電話を始める

はいはい、仲のよろしいことで!

俺はマサに話しかけようとすると、マサも携帯電話を掴んでどこかに電話しようとしていた

マサは、茉莉ちゃんか

んで、透理さんは新妻に定時連絡かよ

あーあ、俺一人で誰にも電話する相手がいねえし!

俺は肩をすくめると、よろよろになっている他の赤族に目をやった

「そんなところで、へばるなよ。さっさと撤収しろ! まわりの方々にご迷惑だろ」

「んなことを言われてもぉ。幹部のように俺ら、体力ねえっすよ」

「言い訳は後だ。とりあえず、撤収だ! さっさと帰れ」

俺は手のひらをひらひらと振った

手を振るたびに、鉄パイプで殴られた腕に痛みが走る

こりゃ、骨にヒビが入ってるかも…いってえなあ

「けが人は、マサに報告しろよ。あいつんち、病院だから。行けば、どうにかしてくれる…てか、どこの病院でも行けば、どうにかしてくれるか」

俺は反対の手で、頭をぼりぼりと掻いた

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