真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ケン!」

俺が振り返ると、腫れている腕を冷やしながらリンが走ってきた

「リン、怪我平気っすか?」

俺が、口を開くなり、頭を思い切り平手で叩かれた

「無理しないでって言ったのに。何やってんのよ。ヒーローのスーツを着ているかもしれないけど、中身はケンなのよ。大けがしたらどうするの」

「ああ…大丈夫っすよ」

俺は大笑いをするが、リンが怖い顔で俺を睨んできた

「いや、マジで! 平気っすって」

俺はスーツのマスクをとると、流れ落ちる汗を頭を振って飛ばした

「ケンケン、まさか彼女さんに何も言ってないの?」

マサが、携帯をきってすぐに俺たちの会話に割り込んできた

「彼女じゃありませんから!」

リンがはっきりと俺たちの関係を否定した

「ありゃ、ケンケン、振られちゃったねえ」

透理さんが、俺の肩に腕を乗せた楽しそうに笑っている

「五月蠅いよ、透理さん」

「あらあ、先輩に口答えですかあ?」

まったりとした口調で、透理さんが俺の頬を抓った

「痛いっすよ」

「あ…じゃ、僕はバイトに戻るから」

俺らの背後で、チョーの声が聞こえた

「チョー、ありがとうございました!」

「いいって。ケンケンの彼女さん、マサの病院で診てもらうといいよ」

チョーがバイクに跨ると、去って行った

「だから…私は彼女じゃありませんってば」

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