真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ちょっと待ってよ。信じてないでしょ?」

ケンが私の手首を掴んできた

「信じるとか、信じないとか…そういう問題じゃないよ。気分が悪い! むかつく。腹立たしい。苛々する…ってこと」

「え?」

ケンが意味がわからなかったのか、小首を傾げた

「だから、ケンが浮気したとかそういう事実より、そのメールがむかつくの!」

「は?」

「まだわからないの?」

ケンの首の傾きがさらに深くなる

「知りたくない現実を見ちゃったから、苛々するのっ。ケンは背も高いし、社交性もあるから、モテるのはわかる。真面目だし、顔もまあまあ良いほうだと思う。世間の女性が放っておかないでしょ! そういう男を。私は胸はぺったんこだし、変に筋肉質だし、男に交じってスタントしてるような男みたいな女だし。私より色気のある女が、ケンの近くに居て、ケンを狙っているのかと思うと…なんか…こう…むかってするの」

ケンの顔の筋肉が、これでもかってほど緩んだ

嬉しそうに笑うと、両手を広げて私を抱きしめてくる

「それって要は嫉妬ってこと?」

「知らないわよ」

「ヤキモチ?」

「知らない!」

「俺、ちょー嬉しいんだけど。めっちゃ幸せ感じちゃうよ!」

ケンは私に抱きついたまま、鼻歌を歌い始めた

「やばっ……一週間分がこみ上げてきたっ! リン、風呂入ってないけどいいよな?」

「やだ」

「却下! もう駄目。我慢はできない」

ケンは私から離れると、スーツの上着を脱ぎ捨てて、ベルトをはずし始めた

「ちょっと…お風呂!」

「無理むりムリ! 絶対、無理でしょ! この状況はいけません」

「意味がわかんない」

「いいから、いいから」

ケンは私をベッドの上に押し倒した

もう! 何なのよ

私は怒ってるのよっ
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