真面目なあたしは悪MANに恋をする
「リン! リンちゃぁん」

ベッドの中で寝ている私の身体をケンが揺らした

「眠いよ」

「出かけるよ」

「え?」

私はぱちっと目を開けると、ベッドの上に飛び跳ねた

「今、何時?」

「8時だよ」

ケンがにっこりと微笑んでいる

「なんでケンが起きるときに、起こしてくれないの?」

「だって気持ちよさそうに寝てたから」

「寝てても起こしてよ。ケンが一人で用意することになるじゃない」

「うん、いいよ。昨日は、無理させちゃったみたいだし」

ケンの言葉に、昨日のエッチを思い出して私の顔が真っ赤になった

初めてだった

抱かれているときに、気を失うなんて

そのまま朝まで、ぐっすり寝てしまったようだ

乱れている短い髪を指で梳かすと、布団から足を出した

「急いで用意するから、もうちょっと待って」

「わかった」

ケンがにっこりと笑って、寝室を出て行った

私は急いで、クローゼットから服を出すと着替えた

今日はどこに行くのだろう

ケンはどこに連れていってくれるのだろう

一緒に暮らし始めたころは、ケンは家のこと何にもできなくて、私に怒られてばっかりだったのになあ

今じゃ、私のほうがグウタラになってる

寝坊もするし、料理もしてないし……家のことはケンにまかせっきりで、仕事であちこち行って、家を空けてばかり

ケンなら、モテるし浮気の一つや二つしてそうなのにねえ

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