真面目なあたしは悪MANに恋をする
「真理とも恋愛ごっこだったんだ。俺の気持ちなんか無視して、勝手に恋愛して再婚した両親への反抗っていうかさ。俺の生活をぐちゃぐちゃにした親が気に入らなかった。人、一人の命を犠牲にして、俺はやっと俺の間違いに気がついた。今度は間違いに気づいても、修正する方法を俺は知らなくて、真理の死を言い訳に、真面目になれなかった」

ケンが私の手を握ってくる

冷たいケンの手を、温かい私の手で掴んであげた

「リン、ありがとう。俺、リンと出会えたから、前に進めた」

「私こそ。ケンに出会えてよかったよ」

私たちは、吸い寄せられるように唇を重ねた

「リン、これ……受け取ってくれる?」

ケンはズボンからダイアのついている指輪を出すと、恥ずかしそうにハニかんだ

え? 指輪?

「言ったろ。俺、リンが好きだって」

「でも…いいの?」

「ああ。受け取ってよ」

「ありがとう」

小さい石だけど、キラキラと輝くダイアがとても綺麗だった

「あともう一つ。リンが撮影に行ってる間に、実家に帰ったんだ」

「え?」

「真理が自殺してから、一度も帰ったことないんだけどさ。たまに真理の墓参りで、親とは何度か会ったけど。怖くて帰れなかった。おかしな話なんだけど…両親は離婚してなくてさ。しかも二人には、子供もいたよ。んで、真理の日記も読ませてもらった。二人の間に生まれた子供に、部屋をつくってあげたくて、真理の荷物を整理したらしいんだ。そんときに日記が出てきたって。両親が、俺に頭を下げたんだ。俺だけの責任にして、悪かったって。びっくりした」

私は、手の中で指を転がしながらケンの話を聞いた

どうやら私は薬指にはめるタイミングを逃してしまったみたい

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