真面目なあたしは悪MANに恋をする
私はケンからもらった指輪をじっと見つめた

嬉しくて思わず頬の筋肉がゆるんで、笑顔になってしまう

「私ね。ケンとは理由が全然違うけど、ずっと一人で生きていくんだと思ってた。付き合う前に言ったことがあると思うけど、私を抱いてくれる人って一人もいなかったから。付き合っても、エッチになると『やっぱムリ』って言われて、それが一人じゃなかったから。ああ、私を抱いてくれる人はいないんだぁ…って考えてた」

「あ…そうだ。リンのベッドってずっとダブルだったじゃん。あれって意味があるの? もしかして結婚したいって男性がいた?」

「え? いないよ。ダブルなら、真横になって寝てもオッケーだし」

「へ?」

ケンが間抜けな声をあげた

「は? 変なこと言った?」

「いや…俺はてっきり、リンにはずっと好きな人がいて、結婚まで考えた男性がいると思ってたから」

「いるわけないでしょ! エッチができない女と結婚しようと思う男がどこにいるのよ」

「そっか。俺の考えすぎか」

「あ…なんか、それちょっとむかつく」

「怒らないでよ。俺、結構悩んだんだよ?」

「悩む前に聞きなさいよ」

「質問して、結婚を前提に付き合っていた男がいたって、俺、凹むもん。再起不能になる」

「すぐ復活するくせに」

「まあ、そうだけど」

私たちはくすくすと声をたてて、笑った

幸せな時間

これからもずっと続くといいなあ

ケンと二人で、一生一緒に過ごせたら幸せだね





【番外編】スーツアクターに恋をして
        終わり
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