真面目なあたしは悪MANに恋をする
「茉莉は?」

葉南がぐるっと首を動かすと、茉莉を見た

「無理! マサの就職がきちんと決まるまでは」

「まだバイト扱いでさ。もう少しなんだよね」

マサが恥ずかしそうに、口を開いた

マサは美容院でバイトしている

美容師の資格をとっていた

専門学校に通っているときは、マサと茉莉は一緒に暮らしていたが、今は互いに離れて生活をしている

遠距離恋愛というほどは離れてないけど、それでもあまり休みのとれないマサは、茉莉とゆっくりと会えていないみたいだった

「葉南は? 葉南たちだって結婚しようと思えば、できるじゃない」

僕と葉南が顔を見合わせた

確かに、互いの親に反対されているわけじゃないし、籍を入れようと思えばできる間柄ではある

でも今まで、一度も結婚の話題は出なかった

「僕が勝手に就職するまではって考えてたから……」

「私も。片岡君が就職してからって」

考えもしなかった

「んじゃ、入籍しちゃう?」

ケンケンが明るい声で聞いてきた

「いや…それは…」

僕は首を傾げた

「段取りっていうのがあるし」

葉南も首をひねった

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