真面目なあたしは悪MANに恋をする
「あ、幸ちゃん…こっちこっち!」

女性の声に僕は眉をしかめた

僕の隣で女性に向かって手を振っている幸助の顔を、僕は睨んだ

「男たちだけの飲みって言ってなかった?」

「昨日までは」

幸助がにかって笑う

「え?」

「だって幼馴染がさあ…片岡を紹介しろって煩いんだもん」

幸助が悪いと両手を合わせた

「俺は、クリスマスまでに彼女が欲しいからさあ」

アキラが僕の肩に手を置いて、満面の笑みを見せた

「要は、僕を騙したってわけだね?」

「だって片岡ってお堅いんだもーん。少しは砕けようって」

幸助が腰を振りながら口を開く

「僕はいつも砕けてるよ」

「違うちがう。男女入り混じって楽しいことをしようってことだよ」

「僕はそういうのはちょっと…」

「ほら、お堅い!」

アキラが僕の肩をもみ始めた

「彼女がいるからって言うんだろ? 彼女に黙ってればわからねえって」

「そういう問題じゃないと思うけど」

「気にするなって」

僕はアキラに押されるがまま前に進み、椅子に座った

不本意だけど、約束をしてしまっている手前、帰るわけにもいかないし

「少しだけだよ。2時間したら、帰るからね」

「はいはい!」

アキラが嬉しそうに笑った

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