真面目なあたしは悪MANに恋をする

「マユでーす」
「ユナです」
「ミクでーっす！」

先に椅子に座っていた女子メンバーたちが、自己紹介を始めた

三人とも同じように髪を染め、同じような化粧していて、まるで姉妹みたいだ

「アキラです！」
「幸助でっす」
「片岡です」

僕が名前を言うと、アキラと幸助の肩ががくって落ちた

「下の名前だっつうの」

アキラが僕の足をたたいた

「いいよ、別に」

僕は首を横に振った

「『いいよ』じゃなくて、こういうときは下の名前を言うんだってば」

アキラがさらに僕の足を叩いた

面倒くさいなあ

「ああ、いいって。片岡君は彼女いるの？」

マユと名乗った女性が、前に身を乗り出すと質問してきた

「え…あ、いる……」

「いないよなあ。俺ら全員、恋人募集中だから」

僕の言葉に覆いかぶさるように幸助が大きな声で発言した

え？

「そうなんだ。良かった。あたし、片岡君に立候補」

マユって子が手をあげる

「えー？　私もなんだけど」

ミクって子も手をあげた

「あ…え？　あの」

困るんだけど

僕は幸助を見ると、目で「困る」と訴えた