真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ねえねえ、あの子、なかなかじゃない?」

ヨウコ先生に腕を引っ張られた

「え? どこですか?」

あたしは、ヨウコ先生が指をさすほうを眺めた

「ほら、3対3で合コン中の……真中に座ってる男の子よ。背も高そうだし、顔も格好良いよ! こんな時期に、合コンするなんて彼女、いないのかしら? あの子は今夜中に彼女ゲットね」

ヨウコ先生が、顎に手をあてて深くうなずく

「あ…本当だ。格好良いじゃん。本当に彼女、いないのかなあ」

後輩のケイコ先生もヨウコ先生の話に割り込んできた

真中に座っている男の子って?

「きゃあ、こっち見たよ! ヨウコ先生っ」

ケイコ先生が、嬉しそうに声をあげる

「真正面の顔って精悍じゃない!」

ヨウコ先生が興奮気味に、あたしの腕をばしばしと叩いた

「あ……」

あたしが口をぱかっと開けると同時に、『真中に座っている男の子』が勢いよく席を立ちあがった

『どうした片岡?』

大勢いるお客の会話の隙間から、聞こえてくる声にあたしは耳が傾いた

やっぱり…片岡君だ

大学の友達を飲み会って、女子もいるんだあ

『どうしたのぉ?』

胸の谷間が見えんばかりに、身を乗り出している女の一人が、立ち上がった片岡君に声をかけるのが聞こえた

『あ…えっと』

片岡君の視線が、あたしとテーブルにいる大学の友人たちとを何度も行き来する

「ヨウコ先生っ、あの彼、もしかしてうちらの三人うち、一人に一目ぼれしたかも?」

ケイコ先生が、嬉しそうに囁いてきた

「なんか…もう、今夜のコンパなんてどうでもいいって感じがしてきたあ」

ヨウコ先生が、興奮気味に話す

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