真面目なあたしは悪MANに恋をする

いや…違います、と言いたいけれど、言えない

あたしの彼氏なんですって言ってもたぶん信じてもらえない気がする

だって、ヨウコ先生の目がハートマークだもん

完全に、片岡君に一目ぼれって感じ

困ったなあ、どうしよう

このまま知らないふりをしても、片岡君にコンパだってばれちゃうし

だからって店を変えましょうって言うのも、なんかちょっと言いにくい雰囲気

「えっと…どうしますか？」

あたしはヨウコ先生の横顔を見た

『あ、ちょうど店に来たところだったんだ』

背後からした低い声にあたしは振り返った

「もっと遅くても良かったのに」

ヨウコ先生が、くるっと振りかえると後ろに立っている男性に口を開いた

この人たちが、コンパの相手？

あたしははっとすると、片岡君のほうの姿を探した

「あれ？」

さっきまで片岡君がいたテーブルには、片岡君の姿がなかった

「どういうこと？」

「ひぃ」

あたしは、真横から聞こえてきた片岡君の低い声に驚きの悲鳴をあげた

「え？」

ヨウコ先生が首を傾げると、あたしの腕に触れてきた

「あ…えっと」

あたしはヨウコ先生と片岡君の顔を交互に見て、苦笑した