真面目なあたしは悪MANに恋をする
「いいけど、後ろでいちゃいちゃするなよ」

「わーってるって」

寺島君はそう言いながら、茉莉と手をつないだ

バックミラーに二人が手を繋いでいるのが映っていた

なんか嫌な気分

後ろの二人は楽しそうだよね

茉莉はどう思ってるの?

この状況を…あたしに罪悪感とか、感じてないのかな?

「二人って付き合ってたんだね」

あたしがぼそっと呟いた

「え? あ…うん。ナツたちから聞いてなかったの?」

ナニ、それ…どういうこと?

あたしはスカートの上にある手で、こぶしを作った

強く握りしめて、爆発しそうになる怒りを必死に閉じ込めた

「あれ? てっきりみんなが言ってると思ったけど…言ってなかったんだぁ。ごめーん。私さ、寺島君が好きなんだ」

「そっか」

あたしはそれだけ言うと、下を向いた

『ナツたちから聞いてなかったの?』

茉莉の無責任すぎる言葉が、頭の中で何度もリピートされた

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