真面目なあたしは悪MANに恋をする
突然、林の向こう側でカッとライトが光った

それも一つや二つの量じゃない

何十個もの、明かるいライトが一斉についた

車の中がいきなり明るくなる

え? 何…眩しいんだけど

あたしは片目を瞑って、明るいほうに視線を向けた

「望ぅ…これってやばくね?」

加藤さんの顔の表情が固まった

眩しいライトの方を見たまま、加藤さんの顔の筋肉が緊張しているのが、あたしでもわかる

頬の筋肉がふるふると震えている

茉莉とキスをしていた寺島君も、茉莉を突き飛ばすように離れると、窓にへばりついた

「マジ、やべえよっ! 加藤、早くエンジンをかけろ。ズラかるぞ」

「え? 何? どうしたのぉ?」

茉莉がのんびりとした口調で、質問してきた

加藤さんは、真っ青な顔をして鍵穴に鍵を差し込んでエンジンをかけた

「早くしろって」

寺島君は、加藤さんを急かすように運転席の椅子を何度も蹴ってくる

「やってるよ!」

「こっちに来ちまうよ」

「んなこと言ったって…」
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