真面目なあたしは悪MANに恋をする
「な…何ですか?」

片岡君は驚いたような声をあげる

「ま…茉莉は、友達なんですっ! 短大の友達で…あの、すごく怖がってたから」

あたしの言葉に、片岡君が『ふぅ』と息を吐きだした

「騙されたんじゃないの? 友人を恨んでないの? 憎んでないの? 痛い目に遭えばいいって思わないの?」

片岡君の目が冷たい

氷のような鋭い視線であたしを見てきた

「そりゃ…二人で黙って付き合ってるのを知った時は…ちょっとそう思ったけど…でも本当に怖い思いをしている場面に立ち遭ったら、そんなこと思えないよ」

ふっと口を緩めると、片岡君がぽんぽんとあたしの頭を優しく叩いた

ポケットから携帯を取り出すと、片岡君はどこかに電話をし始めた

「女には手を出すな。男二人だけにしろ。女はそこら辺に放っておけ」

片岡君は携帯と閉じると、あたしの目を見た

「これでいいですか?」

「あ、うん。ありがと」

片岡君は携帯を胸ポケットにしまった

「チョー、車、どうしますぅ?」

一人の男が、片岡君に声をかけてきた

「あ? バラして、金になるもんだけ持ち帰れ。どうせあいつら、近くにもう一台、車があんだからいいだろ」

あ……バイトのときの会話、聞いてたんだ
< 67 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop