真面目なあたしは悪MANに恋をする
「チョー、あとはもう俺らで平気っすから!」
「いつものカラオケで待ってるよ、チョー」
「あ、クリスマスだから…お泊りっすか?」
「チョーは、まだそんな関係じゃねえんだよ、バカっ」
「マジっすか? んじゃ、今夜っすか?」
「送り狼っすねえ」

どっと笑いが起きる

「チョーの性格じゃあ、送り狼にはなれねえっすよね」

また、仲間たちが笑い声をあげた

「口を動かす前に、手を動かせよっ。いつものカラオケで集合な」

片岡君は、早口で告げるとあたしの手首を掴んで、大股で歩き始めた

「家まで送るから」

片岡君はぼそっと呟くと、バイクに跨った

「はい、ヘルメットね」

靴を差し出してくれた男の人が、にっこりと笑ってあたしにヘルメットをかぶせてくれた

「す…すみません」

「チョー、女の子が後ろに乗ってるんだから、安全運転で!」

「……かってるよ」

ぶっきらぼうに片岡君は答えてから、バイクのエンジンをかけた

頭にがんがん響くほどのエンジン音が鳴り出した

あたしは、後ろから片岡君に抱きつくと目を瞑った

初めての体験でちょっと怖かった

バイクに乗るのも、バイクで二人乗りをするのも…生まれて初めての経験で…振り落とされないように、必死に片岡君にしがみついていた


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