真面目なあたしは悪MANに恋をする
あたしは11時ぴったりにファミレスの到着する

ファミレスの店の前で、ズルズルと耳障りな音が聞こえてくる

視線を動かして、音がしたほうを見ると、しゃがんだまま、カップラーメンをすすっている男と目が合った

「あ、俺、ケンケン!」

18歳くらいの男が、顔いっぱいに笑みを浮かべるとまた、ラーメンを啜った

「ぬぅかに、透理とマサがいりゅよ」

口の中にラーメンを入れたまま、ケンケンが言葉を出す

ついでに麺も口から顔を出す

「な…なんで、こんなところで食べてるんですか?」

中で、食事を注文すればいいのに

「あ、俺、金がねえんだわ! んだから、カップラーメンで腹を膨らませておかないと…食いたくなっちゃうだろ?」

にまっとケンケンが笑った

にきび痕の少しでこぼこした頬に、えくぼができた

その笑みはとても人懐こくて可愛いって思わず見いってしまうような表情だった

「お腹減ってるなら、奢りましょうか?」

なんか可哀想じゃない?

ファミレスの前で、カップラーメンを啜ってるなんて…昨日のバイク集団の人とは思えないんだけど

ヨレヨレの紺のTシャツに、裾が黒ずんで布が擦り切れているケンケンのジーパンは、すでに服として寿命がきているように見える

本当に、お金がないんだ…って思えるような格好だった
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