真面目なあたしは悪MANに恋をする

「まじで？　本当にっ…って駄目だわ。無理っす。チョーの女に奢ってもらったなんて、チョーに知られたら、殺されるって」

ケンケンは箸を持っている右手をぶんぶんと横に振る

「別に、あたしは片岡君の女じゃないけど」

「いや、いずれ…てか、すぐにでも彼女になると思う」

「え？」

「だって今日、ここに来てくれたってことは、チョーが気になってるってことっすよね？　だからチョーの良さを俺らで吹きこんで、チョーを男として意識してもらって、今夜にでも…ととっ。言っちゃったよ、俺らの計画を…いや、別に、その無理やりくっつけようとか…じゃなくてっ。なんつーか、チョーに幸せになってもらいたいってゆうか」

ケンケンは立ち上がると、２メールの距離を行ったりきたりとせわしなく動き回る

箸をオーケストラの指揮棒のように、振りまわしながら、あたしに言い訳をする

「チョーは長でも、青とか黄とかの族長とは全然違うっすよ。喧嘩好きってわけでもないし、世間様にご迷惑をかけるのが大嫌いな人で、なんつーか…一般的な族とは違う長っていうか。礼義正しく、誠の中で生きてるっていうか…とにかく、俺らの自慢のチョーなんですっ！」

「…はい」

あたしは思わずケンケンの説明に圧倒されて深く長く頷いていた

こんなに他人のことを熱く語れるなんて…ケンケンも凄いけど

熱く語れる人柄を持つ片岡君も凄い