真面目なあたしは悪MANに恋をする
「あ、俺、飯山政史です。『マサ』って呼んだください。16歳だけど、高校には通ってないっす。通う金もねえし、今はチョーの家に世話なってて、コンビニと工事現場でバイトしてます。高校にきちんと通ってるのは、透理さんとチョーくらいで…あとは、働いてるやつとか…帰る家がなくてチョーに世話になってるやつばっかっす」

「帰る家がない?」

あたしは思わず聞き返してしまった

マサ君がさびしそうに微笑んだ

「事情は人それぞれだけど、俺もケンケンもチョーの家に世話なってるんです。職も安定して、一人で暮らせるようになるまで、居ていいってチョーも言ってくれるんで、ついつい甘えちゃって」

ペコっとマサ君が頭を下げた

「ちなみに、いつも行くカラオケはケンケンのバイト先なんす。店長さんが元赤族で、その店にもめっちゃ甘えてます」

マサ君が苦笑いを浮かげているとあたしの前に3つのコップがドンっと置かれた

「何を飲むのか聞き忘れちゃって…とりあえずカルピスとアイスティーとウーロン茶を持って来たよ。好きなのをどうぞ」

間延びした声で、透理さんに言われるとストローを三本ほど手渡された。

「ど…どうも」

「3本はいらねえだろ」

「え? だってコップが3つあるし…」

「飲むのは一人だろ!」

「あ…そっか」

マサ君に突っ込まれて、透理さんがにこっと微笑んだ
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