真面目なあたしは悪MANに恋をする
「…で、話は終わった?」

「終わってねえよ」

「マサって話が長いよねえ」

「長くねえよ! そう言うなら、透理さんが話せよ」

透理さんはマサ君の隣に座ると、眉尻を下げる

「うーん…チョーは良い男だよ。あ、でも、男から見る『良い男』は、女性から見たら、『良い男』じゃないんだっけ? 前にそんなのを耳にした記憶があるんだけど」

透理さんは腕を組むと、また『うーん』と低いうなり声をあげた

「昨夜のことだけどね。あれ、めっちゃ偶然だったんすよっ」

ラーメンを食べ終わったと思われるケンケンが、透理さんの横に座りながら、口を挟んできた

「あの車が通りそうな場所を予測して、あちこちの道路に見やり役を置いておいたんす。チョーの準備が整い次第、追いかける予定でいて…そしたら、俺らの待機場所にあの車が来たから、さあ大変っすよ。チョーの機嫌が急降下しちまって、めっちゃ怖かったんすから」

「え?」

あたしは首を傾げると、ケンケンの顔を見た

「車を止めた場所って、よくカップルが停めにくるスポットなんすよ。人通りもないし、車もあんま通らないから。ホテルに行く金のないカップルがよく来るんすよね。だから…もう、チョーが怒っちゃって。んで、昨日は怖い思いをさせてしまったってわけでして…申し訳なかったです」

ケンケンが頭を下げると、マサ君や透理さんも一緒になって謝ってきた
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