真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ウサギちゃんって、加藤君の女ってわけじゃないんだあ。あ、もしかして寺島君と加藤君と…二人を相手にしちゃってるとか? 可愛いもんねえ…ならさ、俺らと一緒に遊ぼうよ! 寺島君なんかより、楽しい思いができること間違いナシだよ」

ケンケンがバイクから降りると、すたすたとあたしの前に立つ

あたしの靴の前にあった鞄を気にせず、踏みつけるとあたしの腕を掴んでぐいぐいと引っ張った

「ちょ…えっ?」

あたしは寺島君の顔を見る

寺島君は、身体をぷるぷると震わせながら、ぷいっと視線をそらした

え? 全く守ろうとする気なし?

確かに…昨日、あたしを車に置いて行ったんだから、今も守られることを期待しちゃいけないんだろうけど

男としてどうなんだろう…て思わず考えちゃうよね

それともあたしだから?

連れて行かれそうになるのが茉莉だったら、身体を張って守ろうとした?

「ほらほら、乗って! 遊びに行こうよっ。他の男に引っ張られてるのに、引き止めようともしない弱虫男なんて忘れちゃいなってば」

バイクに乗せられるあたしの頭の上に、ケンケンがヘルメットをかぶしてくれる

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