真面目なあたしは悪MANに恋をする
あたしが住んでいるマンションの近くに一台のバイクが止まっていた

ケンケンのバイクが近づいていくと、路上に止めているバイクドライバーが、振り返ってヘルメットを外した

あ…片岡君だ

ケンケンたちは、バイクのスピードを緩めると、停車しているバイクのすぐ後ろで、バイクを止めた

「全く、ひっでぇヤツでしたよ! 嘘八百マシーンでも搭載してんじゃねえっすかね」

ケンケンはそう言いながら、バイクから降りると、あたしがおりるのを手伝ってくれる

無事に地面に両足がつくと、あたしは『はあ』と長く息を吐きだした

「葉南さん、大丈夫ですか?」

片岡君が、あたしの目線に目を合わせてきた

片岡君の膝が、深く曲がっている

180センチ以上の片岡君と、156センチのあたし

曲げられてる膝が目に入ると身長差を感じた

「あ…はい」

あたしは慌てて、頷く

片岡君に『葉南さん』って初めて呼ばれた

なんか胸の奥がむず痒い

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