真面目なあたしは悪MANに恋をする
視線を合わせてくれたのと、下の名を呼ばれたのが合わさって、あたしの心臓が興奮した

鼓動が激しく鳴って、煩いくらいにあたしの頭の中に響いてくる

どうしたんだろう、あたしの心

『友達』からって言ったばかりのなのに、『恋愛の好き』がわからないって言ったばっかりなのに、片岡君の仕草に声に、過敏に反応しているあたしがいる

「ハナちゃんっ! 駄目っすよ。我慢しちゃいけないっす」

ケンケンがあたしの肩をポンと叩く

あたしの眼前にいる片岡君が、『何があったの?』と言わんばかりに、首を傾げてきた

「あ…えっと、その…嘘をつかれたっていうか」

「うん」

片岡君が真顔で頷く

「嘘を信じた寺島君に、ド突かれたっていうか…」

「うん」

片岡君が、また頷く

「それだけです」

「ハナちゃぁん、それじゃ…意味がわからないからっ!」

ケンケンが、呆れたように声をあげた

「加藤って男が嘘をついたわけだ。それを信じた寺島が、勝手に誤解して葉南さんに怪我をさせたわけ?」

スッと片岡君の目が細くなる

怒りが目の中に宿る

膝を伸ばして、背筋も伸ばした片岡君がケンケンの顔を見る
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