360゜
プロローグ<すべてのハジマリ>
「・・お前なんて、昔っから嫌いだったんだよっ!!」
「・・・・・・・っ」
3月6日。
あたしのなかで世界は、急に全回転した。
もともと歪んでいた世界が、ついにはパズルのピースがはがれ、堕ちていくように歪み静かに時間をかけて壊れていった――。
あたしの目の前に立っている彼は、あたしと一回も目を合わせないで、汚く黄ばんだシューズで地面を蹴っていた。あたしは、というと、うつむき加減でじっと肉食動物を前にしたうさぎみたいに小さくなっていた。
目から溢れ出てくる液体たちはやがて、頬を伝い丸くなって地に堕ちた。
それと同時にあたしの心も、花びらみたいにひとつひとつゆっくり堕ちていった。
その瞬間ごとに、なぜだか快感がわいてきた。
日常のストレスがとれた気がしたんだ――――・・。