†君、男~Memory.. limit of grief~
再会
4月10日。
私立水那高校の入学式が
行われる日だ。


新しい制服に身をまとい、
少し緊張した足取りで
学校に向かっていた。


中学とは違う校舎。
やはり大きい。
そう感じてしまうのは
きっと一人だけではないはず。



見たこともない人との出会いは
とても新鮮だった。



先生に連れられ
体育館に向かう新入生。
拍手かっさいで迎えられた。





「只今より平成○年度、
 入学式を行います」


生徒会長のご挨拶、
生徒指導部からの話、
校長から入学生に意気込み。
そして先生紹介が行われる。



「左から、現代社会を担当していただく
 大津志信先生。1年7組の担任です」


ずらりと並んだ
1年の先生達。
そこで目に入ったのは、
どこかで見たことある姿だった。


その人の紹介の時、
一人の少女は耳を疑う。


「数学担当の佐伯 優介先生。
 1年2組の担任です」


「優兄(ゆうにい)?」


つい呟いてしまったこの少女、
名前は蒼井 恵。
スタイルの良さと
クールと見られ中学の時は
結構もてていた。


この水那高校の試験に
来た時も、注目を浴びていた。



入学式も終わり、
2組である恵の担任、
佐伯優介が教室に入ってきて
自己紹介を始める。


若そうに見えたその姿は
まさにその通りだった。
水那に来て2年。25歳だ。
眼鏡を掛け、いわゆる男前。


女子生徒はすぐ騒ぎ始めていた。
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