†君、男~Memory.. limit of grief~

過去の追憶



今から3年前。
中学入って間のない頃、
私は友達から“蒼井 恵”と言う人の
名前を耳にした。


どうやら下の階の子らしく、
とても綺麗な人だったらしい。
そんな人が私と同じ年で、
同じように学校に来てると思うと
鳥肌が立った。


それからもその子の
噂は何度か耳に入ってきた。


人気のある男の子からの
告白も断り、一切誰とも付き合わない、
結構無口で無愛想ってことも。


私の頭の中では怖いって言う
イメージが出来ていた。



そして私は中学1年の秋。
部活に向かう途中だった…


初めて、蒼井恵って言うこと
鉢合わせになり、何故か私は
固まってしまった。


あまりにも美しく繊細で、
とても…冷たい目をしていたから。


硬直したまま体が動かなくて、
息を呑んだ。



この人が、蒼井恵さん――…?


身長もはるかに私より高く、
今よりも短い髪。


けれど私はその人の目が
悲しんでいるように見えてしかたがなかった。



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