†君、男~Memory.. limit of grief~


「離してよ!」


校舎の裏へと連れてこられた燐。
必死で抵抗するも両腕を縛られ、
身動きできない状態だった。


「あんたに危害を加えれば、
 必ずあの女は助けに来る。
 いい友達を手にしたねー」


「レインには手を出さないで!」


「今回は手を出す計画ないし。
 裏切らせてやるの」


「裏切らせる…?」


「大切な友達が、
 離れていく瞬間…どう?」


「…!そんなのレインが
 簡単に乗るわけないでしょ!」


「どうかな―…人は
 最大のピンチに迫った時、
 自分を優先するもんだけど?」



「燐―――…?」


「来た」


走ってきたの?
レインは息を切らして、
唖然と私の方を見ている。


「蒼井さん…もし今すぐこの女と縁を切るなら
 こいつは解放するけど、
 もし逆らえば、こいつもあんたも
 2度と人と接せなくなるけど、どうする?」


「…」


「レイン!そんなの乗っちゃ駄目!
 レインが傷つくのもう見たくない…
 だから私と縁を切るって言って!」


「縁切る必要何処にある。
 そんな約束、ごみだ」


「生意気言うなよ?
 その目がムカつくんだよ!」


「レインー!」


その女は恵の首を掴み、
壁へと押し付けた。
燐は逃げ出そうとするが
もう一人の仲間が動かせない。


掴む強さはどんどん強くなっていく…。




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