†君、男~Memory.. limit of grief~


「れっ…レイン…今の」


「別に燐も逃げたきゃ逃げろ。
 私は燐が思うよりずっと酷い人間だ」



いつものように冷静で綺麗なレイン。



私を…助けてくれた…レイン。



「酷くなんかない!
 レインは私を助けてくれた。
 いつも変わりに守ってくれた…ッ。
 どうしてそこまでするの?
 私なんて放っておけばいいじゃんか!」


私が言った言葉は真実なんかじゃない。
本当は真っ先に謝ってお礼を言いたかった。
けれど、そんな気持ちとは裏腹に、
どうしてもレインの気持ちが知りたかった。


「私の傍にずっといて、笑ってたのは燐だ。
 周りの人間は私を軽蔑した目で見てくる。
 燐はまっすぐ見ていた。
 だから守ったんだ」


「レイン…そんな理由で」



嬉しかった。本当に嬉しかった。
貴方といれば心が安らいで、
優しく微笑む貴方の姿が、
ただ好きだった。


「ごめん…レイン!
 ごめんなさい――!!」


燐は恵に飛びつく。
泣き叫んだ。




「それ以来今度は私が
 レインを守らなきゃって思った」


私よりずっと強い目…


何かを抱えてる、
孤独に生きてきた、寂しさの証。


私はそれを、見つけたい…



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