†君、男~Memory.. limit of grief~





「めぐちゃん!せっかく
 優介君が来たんだから、
 降りてらっしゃいよ」


今日はクリスマス。
誰もが賑わっている中、
恵だけは別途の上で倒れていた。


真っ暗の部屋で帰って来てから
ずっとこの調子だった。


コンコン…


「俺だけど、ちょっといいかな?」


優兄…?


ゆっくり体を起こし、
ドアにもたれて座る。
しっかり優介の声が聞こえるように。


「前は言い過ぎた…。
 自分のことしか考えて
 なかったかもしれない」


「もういい…。
 優兄の言ってることは
 正しいんだから」


「レイン…?」


レインは顔を抑え、
自分でも分からなかった涙の出ない理由が…
今はっきりしたようだ。


「簡単には壊れないっていう自身があったのに…
 こんなにも心が揺らぐ自分が許せなくて、
 偽りと言われた自分の心が憎くて仕方がなかった」



私より先に進む貴方…


貴方は歩いていく。
なのに私は暗闇でそれを見てるだけ…


こんなにも遠い存在だってこと、
知らなさすぎた―――…



もしここで泣けば、
本当に揺らぐ…そんな気がしたんだ。

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